筑波大学附属駒場中・高等学校で7月31日、東京高校生平和ゼミナール主催による「東京高校生平和の集い」が開かれ、都内の高校生50名と関係者約50名が訪れた。ニューヨークからは私立セント・ルークス校で社会学を教えるアレン先生と、卒業生のポーリンさんとニック君が招かれ、米国で広島・長崎の原爆がどのようにつたえられているかについてスライドを交えながらプレゼンテーションを行った。
3人は米国の授業における広島と長崎の原爆について語った。アメリカでは多くの教科書が「原爆が戦争を早く終わらせた」と教えており、教師のなかには1950年代に書かれた核に関する本をいまだに使用している人もいるという。核関連の教育は、終戦直後は活発に行われていたが、現在は、日米ともに、無関心とは言えなくても、決して全国民をあげての活動にはなっていないと指摘。そんな中で、セント・ルークス校では2007年から平和教育の一環として長崎原爆をテーマにした映画「アンゼラスの鐘~1945~」を上映し、ニューヨーク州の上院議員に核廃絶を訴える書簡を提出している。アレン先生は教育を通して、学生と教師が協力して世界を変えていくことを提唱。授業では①問題を見つける②具体的な課題を特定する③変化を起こすことができて、意見を聞いてくれる人を見つける④手紙を書く⑤友人、家族などほかの人に伝えるという5つのステップを用いている。今回の集いでも、核廃絶に関して多くの署名を募った。
その後、アレン先生は日本人教師たちとの交流会に参加。日本人参加者は「米国では佐々木禎子さんの本が授業で使われていると聞いたが、本当か?」「セント・ルークス校では核廃絶を求める授業が行われているが、ほかの学校ではどうなのか」など、積極的に質問。アレン先生は「ほぼ全員が禎子さんのストーリーは知っている。しかし残念なことに広島・長崎の原爆についてはそれだけしか学ばれていない。テキサスなど保守的な場所では平和教育の概念が異なる」と現状を説明した。
交流会の最後に生徒たちとアレン先生は手を取り合って歌い、親交を深めた。アレン先生ら3人は3日に京都で「平和のための京都の戦争展・ピース・スクール」に出席。8月4日からは広島入りし、東京の高校生と合流して平和記念行事に参加する。
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